他人に自分の生活費を支払わせることはできない!

福岡パシフィック法律事務所では,不動産,建築トラブルや,企業顧問の業務が中心で,特に他事務所と比較して不動産,建築関係の案件数が多いです。

しかし,時代を反映してか,相続問題,離婚問題といった家事事件についても,毎月必ず一定数のご相談があり,調停や裁判を担当させて頂いております。

福岡パシフィック法律事務所は,裁判所で行われる調停や裁判といった手続きをしっかりやっていく方針ですので,あまり内容証明を一通送るだけとか,示談交渉だけで済ませたいというご相談を積極的には受けておりません。

内容証明書用紙紛争が,内容証明の一通だけで簡単に終わるとお考えの方も少なからずいらっしゃいますが,人間と人間が法的な紛争トラブルに突入した状態で,内容証明の一通だけでそれが解決するということは稀です。

にもかかわらず,紛争解決をそのように簡単にお考えの依頼者様に安易に「内容証明を送ってみましょう」と言うと,弁護士が手紙をかけば,どんな相手でも言うことをきいて,それで解決できるという誤った期待を抱かせかねないからです。

離婚を考えている女性の中で,「離婚を夢見ている」としか思えない方もいます。

特に夫が不倫をしたという理由で離婚の相談に来られる方の場合,「相手が悪いのだから,当然これまでの生活水準を維持するのに必要な生活費は夫に負担させる。そのうえで慰謝料ももらう」と考えている人がいます。

生活費を夫に負担してもらえるのは,配偶者に扶助の義務や婚姻費用の分担義務があるからです。

民法752条では「夫婦は同居し,互いに協力し扶助しなければならない」と定められています。

また,民法760条では「夫婦は,その資産,収入その他一切の事情を考慮して,婚姻から生ずる費用を分担する」と定められています。裁判所

あくまで,「夫婦は」生活費を分担する義務があるのですが,離婚後「他人」になってしまうと,生活費を夫に負担させるという権利は一切ありません。

生活は自分で,独立してやっていくしかないのです。

この大前提が,全く分かっていなくて安易に「離婚を夢見ている」女性がいますが,これまで夫に生活費を分担してもらっていた女性が離婚をするのであれば生活費は自力で稼ぐしかないということを肝に銘じておくべきです。

どうして夢見てしまうのか?

嘘の情報どうしてこのような誤解が生じるのでしょうか。

最近では,誰でもスマホなどで色々な情報を得ることができ,特に,掲示板などで気軽に見ず知らずの人に質問できたりします。離婚

弁護士でもない人が,真剣に悩みを抱えた相談者に対し

「なんて酷い夫なんだ!あなたは我慢しなくていいのです。生活費も夫に負担させて,慰謝料だって,迷惑料だって請求しましょう。」

などと安易に回答しているのをしばしば見かけます。(余談ながら,なんでもかんでも「迷惑料」などという言葉を使う人には要注意です。)

離婚という誰にも相談できない悩みを抱えた女性が,藁をもすがる気持ちでネットを検索すると,このような情報に触れるので,一所懸命であればあるほど,自分に都合の良い情報が心に残ってしまうのでしょう。

きちんと整理しましょう

詳しくは,弁護士に相談されることをお勧めしますが,簡単に整理しますと,次のようになります。

離婚を経験した人のアンケートで離婚後苦労したことは,との質問に,生活費がダントツの1位で38%でした。

苦労したことがないという答えが17%でしたから,生活費の苦労は覚悟しておかねばならないことのひとつです。

離婚届離婚にまつわるお金の問題は,ほかにも年金分割などもありますが,最低限以下のことくらいは理解して,離婚後の生活を自立して行えるかどうか検討しておくべきでしょう。

1,婚姻費用
夫婦であれば生活費を負担してもらえる可能性がある。これを婚姻費用(民法760条)という。婚姻費用の金額は算定表があり,夫婦の年収を基に算出される基準額がある。

2,他人の生活費
離婚後,夫婦は他人となる。他人の生活費を支払う義務はない。

3,養育費
離婚をしても親子の関係は存続する。親子は他人とならない。したがって,離婚後,収入や子供の人数,年齢に応じて養育費を支払う義務がある。算定表があり,相場が決まっている。

4,慰謝料
慰謝料は離婚そのもので発生するものではない。離婚の原因となった不貞行為や暴力などの不法行為(民法709条)に対して精神的苦痛を受けた場合に慰謝料を請求する権利が生じる。不法行為がなければ請求できない。不法行為に基づく慰謝料請求は,高度な法律行為であるので,ぜひとも弁護士に相談されることをお勧めします。

5,財産分与
夫婦二人で共有財産を築いた場合(たとえば夫婦で家を買った,夫婦で貯金をしたなど)には,夫と妻が共有財産を分割して,それぞれ受け取る。妻が夫に対し,慰謝料のようにお金を請求できる権利ではない。

その他,分からないことがあれば,遠慮なく福岡パシフィック事務所までお問い合わせください。

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