養育費回収に補助金
昨日(令和2年2月22日)の西日本新聞の一面に、行政が養育費回収に補助金を出すという記事がありました。
実際には、養育費を受け取る権利のあるお子さんの半数以上が、一切養育費をもらえていないというような話も耳にします。
そういう意味では、このような行政の取り組みは非常に有意義だと思います。
権利を公的に認めてもらう必要がある
もっとも、記事でも書かれていますが公正証書や家庭裁判所での調停・審判で養育費が決められたことが条件です。
養育費というのも金銭的な請求権というのはお分かりいただけるかと思います。
請求権というのは、抽象的・観念的には、養育義務が生じたと同時に発生していると言えます。
ところが具体的にその金額がいくらなのか、そもそも強制執行できるほどに強固な請求権があるといえるのか、というのは、裁判所などで判決などの判断が出されて初めて確定するものなのです。
実は、我々弁護士は、この「権利を公的に確定する」という仕事をしています。
もともと権利がないのに、権利を生み出す仕事ではありません。
権利があるのに公的に確定していないために、あやふやになっている権利を、強制執行ができるくらいに強力な権利として公的に認めてもらうという仕事が弁護士の仕事なのです。
したがいまして、もともと権利がないにも関わらず弁護士に依頼すれば権利が生じるというものではありません。
権利がないのに、むちゃな言いがかりをつけるのはクレーマーです。
弁護士はクレーマーのお手伝いをしているのではありません。
法的に認められるべきだと考えられる権利について公的なお墨付きを与える仕事が弁護士の仕事なのです。
債務名義が必要!
このように、公的なお墨付きが得られた権利のことを債務名義(さいむめいぎ)といいます。
耳慣れない言葉だと思います。
正直、弁護士としても、変なネーミングだな、と思うのですが、もとはドイツ語かなにかを和訳したもののようです。
権利証明書というくらいの意味合いだと聞いたこともあります。
西日本新聞の記事でも書かれていましたが、要するに、養育費回収のための補助金が受け取れるという人は、債務名義がある人ということになります。
弁護士にご相談を
つまり、いきなり行政の窓口で
「いくらかでも養育費を支払ってもらえませんか」
と相談しても全く無駄なのです。
記事を読むと、あらかじめ家庭裁判所や公証役場で債務名義をもらえる手続きをした人だけが対象だということになります。
しかし、いきなり自分一人で、家庭裁判所や公証役場での手続きをすることは非常に困難です。
そもそも養育費の相場もわからないという人もいるかもしれません。
まずは、お気軽に弁護士までご相談ください。
福岡パシフィック法律事務所では、離婚、養育費関係の事件については法テラスをご利用できる場合があります。
法テラスをご利用できれば、弁護士費用はいったん法テラスが立て替え払いをして、依頼者様は法テラスに対して毎月5000円とか1万円とか返済するということも可能ですので、非常にリーズナブルに権利の実現ができる可能性があります(法テラス利用で相談料が無料となることもあります)。
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