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故人の口座から18年間も固定資産税の引落が続いていた!?

昨日2月8日、福岡県大牟田市で、2004年に亡くなった女性の金融口座から、18年間にわたって固定資産税を引き落としていたことが明らかになったとのことです。

18年間で、百数十万円程度とのことで、これは間違って徴収したものですから返さなければなりません。

ところで、御本人はお亡くなりになっていますので、誰に返せばいいのでしょうか?

そもそも、相続人がいる場合は、固定資産税の対象となる不動産自体が、相続人の方に相続されるので、相続人が固定資産税を支払う義務があり、このようなニュースにはならないのでしょうから、相続人はいないという前提で考えてみます。

相続人の存在、不存在が明らかでないとき(相続人全員が相続放棄をして、結果として相続する者がいなくなった場合も含まれる。)には、家庭裁判所は申立てにより相続財産の管理人を選任します。

相続人がいないのに誰が申し立てるのか、というところが疑問ですが、被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者などの利害関係者であったり、または検察官が申し立てをするというのが条文にかかれています。

申し立てられると、相続財産管理人が選任されるのですが、故人との関係者であったり、弁護士などの専門職の人が相続財産管理人に就任します。

相続財産管理人は、相続人はいませんか、と公告をすることになります。

その間、相続財産管理人は、不動産や株を換金したりなどできますし、債権者がいれば債権者にお金を返すなどのことを行います。

大牟田市のニュースの場合は、この相続財産管理人が間違って徴収された百数十万円程度の税金を大牟田市から回収することになるのでしょう。

いろいろな手続を行っても、誰も財産を受け取る者がいないとき、財産はどうなるのかといいますと、国庫に帰属、すなわち最終的には、国の財産になります。

高齢化社会ということは、残念ではありますが、それだけ毎年亡くなる方も増えるということです。10年前は、年間で110万人の方がお亡くなりになっていたのですが、今は145万人ほどお亡くなりになるようで、単純に1.3倍近く、相続関係のお仕事をしている方の作業量が増えているのかもしれません。

だからと言って、大牟田市のニュースのようなミスがあって良いというものではないのですが。

相続関係のお悩み事などがございましたら、福岡パシフィック法律事務所に、お気軽にご相談下さい。


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