弁護士ブログ

「コロナみたいな顔」で前科がつく!?

昨日、1月17日に福岡簡易裁判所で68歳の男性に対し、侮辱罪の有罪判決が言い渡されました。

航空機内でマスクが口元からずれていたのを注意した女性に対し、注意された68歳男性は「コロナみたいな顔してからに」と言い返したとのことで、科料9000円の有罪となったようです。

このようなことで前科がついてしまうこともあるので、発言には十分注意しなければなりません。

侮辱罪の厳罰化

侮辱罪という罪は、簡単に言うと人を侮辱した場合に成立する罪ですが、
実は、令和に入ってからも例えば、
路上で「〇〇を盗んだ!」と大声で叫んだことが侮辱罪となったり、
商業施設で、他の買い物客等がいる前で、視覚障害者の方に対して「おめえ、周りが見えんのんやったら、うろうろするな」と大声で言ったことが侮辱罪となったりして有罪判決が言い渡されたケースがあり、侮辱罪自体は、決してめったに成立しないというわけではありません。

むしろ、インターネットでの誹謗中傷などが社会問題化していることも一因となって、実は、令和4年7月7日から、法定刑が引き上げられ厳罰化されているのです。

具体的に言うと、これまで、拘留又は科料のみだった刑が懲役、罰金も定められています。

当然ですが、侮辱罪が罰するのは、侮辱行為であり、正当な評価や評論であれば侮辱罪となりません。

したがって、上に例示した事件のなかで、「大声で」という事実が認定されているのも、侮辱なのか、それとも評価なのかの、ひとつの判断材料になったのかもしれませんね。

正当な評価や評論ではない、感情に任せた侮辱行為が社会から少なくなる方が、社会にとってより良いと思います。

立法面では侮辱罪の厳罰化、そしてこのような侮辱罪有罪判決の報道が頻繁になされることによって、20年前の社会と比較して飲酒運転の件数が相当減ったように、侮辱行為も相当減るとよいなと願っています。


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