
それって、本当に緊急ですか?
それほど緊急性が高くないのに、救急車を呼ぶ人がいて、社会問題になっています。
自分でも悪質だと分かっていながら、タクシー代わりに救急車を呼ぶのは言語道断です。
もっとも、一般の人は医者ではないので、ちょっと腹痛がするだけなのに命に係わると誤解して救急車を呼ぶこともあるかもしれません。
実は、弁護士の業界にも、土日祝日や夜間にも関わらず、一度も会ったことすらない弁護士に対して、電話したり、すぐに返事をくれとメールをしてくる人がいます。
こういう人に限って、内容は複雑すぎるから、直接会わないと説明できない、とにかく相談に乗ってくれ、と内容を教えてくれないことが多いです。
一大事だとしたら大変だと思って、休日返上で対応してみると、全く緊急性がなく、
「弁護士に依頼するかどうかはじっくり検討してから決めます」
などと、おっしゃられることがほとんどです。
じっくり検討する時間があるなら、相談もじっくり営業時間内にしてくださいよ・・・
と思うこともありますが、口に出すことはありません。
一般の方は弁護士ではないので、どのような場合が緊急性のある相談かわからないのだろうな、と思うからです。
そこで、今回は、以下に、一刻も早く、休日だろうが夜間だろうが弁護士を見つけるべき場合を紹介したいと思います。
緊急で弁護士に相談する必要がある場合
刑事事件
刑事事件はとにかくスピードが勝負になります。
逮捕、勾留、起訴という手続きにタイムリミットが厳格にあります。
弁護士の立場で、あとで振り返れば、事件発生時に、すぐに示談交渉をしていれば起訴される事件ではなかったな、と思う事件を担当することもしばしばあります。
刑事事件については、相談が遅すぎたということはあっても、相談が早すぎた、ということはあまり想定できません。
極めて緊急性がたかいので、土日だろうが夜間だろうが、遠慮せず弁護士に相談をしましょう。
行政事件
行政事件も、出訴期間が短く設定されていることがありますので、行政に対して何らかの不満があり、場合によっては訴訟も辞さないというようなお気持ちの時は、迅速に弁護士に相談すべきです。
もっとも、行政事件は、弁護士が訴訟を提起しても、満足いくような判決をもらえることは少ないと思っていてください。
よほど、行政が人権侵害をしたなどの事案ならともかく、行政の運用が納得いかない、なんとなく不満だ、という程度では勝訴することは難しいです。
家事事件・民事事件
刑事事件、行政事件と比較すると、家事事件、民事事件については、土日祝日夜間にも関わらず、急いで相談しなければならないほどの緊急性があることはほとんどないと思います。
しかし、以下の場合は例外です。
(1)訴状が届いた場合
裁判所から訴状が届いた場合は、迅速に対応しましょう。
なお、ここで「訴状」というのは裁判所から送られてくるものです。
訴状が届いて、答弁書を出さないと欠席裁判で負けてしまうことがあります。
また、福岡パシフィック法律事務所では、自分で答弁書を出した後で相談に来られた人の事件を戦ったことがありますが、答弁書に請求を認めると読めるような記載があり、大変苦労したことがありました。
訴状が届いたら、答弁書を出す前に、弁護士に相談してください。
なお、相手方に弁護士がついて、弁護士から手紙が届いたことを「訴状が届いた」とおっしゃる人がいるのですが、全然違いますので誤解しないでください。
裁判所から書面が届いたときは極めて緊急性が高いです。
弁護士から手紙が届いただけでは、まだ、夜間緊急対応が必要とまでは言えませんが、とはいえ、数日以内に相談すべきでしょう。
(2)時効がせまっている場合
時効がせまっている場合は、当然急いで相談すべきです。
もっとも、時効がせまっているということは事件発生から何年か経過していることが多いですから、福岡パシフィック法律事務所では、
「時効が迫っているから、ぜひ休日対応をおねがいします」
と新規の相談申し込みを受けることはほとんどありません。
冒頭に申した通り、緊急対応を求める人というのは、思わず救急車を呼んでしまうタイプの人ですから、時効がせまるまで事件を放置する人は少ないといえるでしょう。
(3)家庭内暴力などが問題となっている場合
悲しいことですが、実際に夫が妻に対して激しい暴力をふるうという事件があります。
福岡パシフィック法律事務所でも、夫の暴力のために妻の眼球が破裂してしまったというような相談を受けたことがあります。
相談しようにも、同居の夫から監視されていたりして、なかなか連絡ができない、相談ができないという事情があることが多いです。
このような相談を受けたら、弁護士としては、休日だろうが夜間だろうが、なんとか対応したいと強く思うものです。
福岡パシフィック法律事務所では、弁護士4人で、誰かが休日や夜間でも対応できるようにいたしますので、このような緊急性の高い場合は、遠慮なくいつでもご相談ください。
(4)顧問弁護士
そもそも、医者でない我々が、腹痛や胸の痛みを感じた時に、命の危険性があるのか、放っておいたら重症になるのかなどと判断できないように、一般の方では、なかなか法的な緊急性が判断できないと思います。
特に、企業や事業者は、日常的に法律に触れる活動をしているにも関わらず、そのような難しい判断を日々迫られているといっても過言ではありません。
近年のコンプライアンス意識の高まりに対応すべく、顧問弁護士をつけて、
「そもそも、この事案は緊急なのかどうか」
ということを常に尋ねることができる体制にしておくべきです。
(5)その他
その他の類型では、それほど緊急性が高いものはないので、じっくり相談されても構わないと思いますが、心労や心痛から一刻も早く脱出したいということは、しばしばあることです。
とはいえ、緊急対応、時間外対応を求める人の多くが、
「自分は平日働いているから、時間外で対応してほしい」
という理由をおっしゃります。
そのような方でも、高熱が出たり、インフルエンザになれば仕事を休んで病院に行かれるはずです。
本人は、緊急対応が必要だ、時間外対応が必要だ、と真剣に思っているのかもしれませんが、ご本人がそのように思っている問題が実のところ、ご本人にとっては熱が出るよりも小さな問題であることもしばしばあります。
真摯に問題に取り組まれる方は日程を調整して打ち合わせに臨まれることが多いです。
あまり無意味に、無料相談であちこちの弁護士を振り回す行為をなさることは感心しませんが、じっくり予定を決めて弁護士に相談されるのがよろしいかと思います。
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