弊事務所では,最近,刑事事件の御相談が多く寄せられます。
中には事件性がなく,その都度,ご安心ください,と御電話やメールで回答するのですが,
似たような御相談がいくつも重なるので,同じように不安に思ってらっしゃる方もいらっしゃるかと思い,
弁護士が相談を受けた場合に,どのあたりに着目するかについて御説明いたしますのでご参考になれば幸いです。
相談内容 ~強制わいせつ罪になりますか?~
飲み会の帰りに一人の女性をナンパしてしまいました。
コンビニでお酒を買って飲まないか?と聞くと、いいですねー。と了承してくれました。
お酒を買って公園で飲んでいるうちに,良い雰囲気となり手を繋ぎ
そのままキスをしてしまいました。
そして私が相手を抱きよせると,相手はエッチまでする気はない。と言って,立ちあがり帰ろうとしました。
私は,そんなつもりはなかった,怒らせてごめん。と何度も謝りました。
すると,相手は,連絡先を教えるから今日は帰ると言いました。
ところが私には妻がおり,後々問題になることが怖く交換をしぶってました。
私はそこで,でたらめな番号を言ってタクシー代を払い別れました。
次の日になって,昨日私がキスをしたこと,体に触れてしまったことについて,無理矢理やられたと被害届を出されたと思うと不安で仕方なくなりました。
そこで福岡パシフィック法律事務所の先生に御質問ですが,警察に事前にこれらを自ら言ったほうが良いのでしょうか?
私は強制わいせつ扱いになるのでしょうか?供述のみで逮捕になる例は多いのでしょうか?任意の事情聴収もせずに警察は逮捕をするのでしょうか?
被害届が出され捜査のために警察が来てしまうより前に弁護士の先生に相談した場合、どのような対応をしていただけるのでしょうか?
示談のためには,私がしてもないことも認めないといけないのでしょうか?
福岡パシフィック法律事務所弁護士の見解
忘年会,新年会など飲み会が多くなるこの季節,酔ったうえで女性の体に触れてしまったというトラブルは非常に多くなります。
強制わいせつ罪にはあたらない,となったとしても福岡県迷惑行為防止条例違反として刑事事件になることもありますので,不安に思われたら,まずは地元の弁護士に相談してください。
1 強制わいせつ罪にあたるか
強制わいせつ罪の成立には暴行・脅迫をもちいてわいせつな行為をしたということが必要です。
相談の事例では,暴行・脅迫がないので講学上は強制わいせつ罪にはあたりません。
では,被害者が「暴行・脅迫があった」と親告した場合はどうか?
実際に,体に暴行された痣などが残っていないと,暴行の立証は難しいでしょう。
また,どうやって知り合ったのか,という経緯を聞かれた場合,通りすがりの男とコンビニに行ってお酒を買ったという経緯やいつでも逃げ出せる公園という場所であった事,最後に電話番号を交換したという事実から,脅迫されて無理矢理されたということも立証しにくいように思います。
捜査が開始されれば,当然コンビニの防犯カメラなどは調べられますので,その様子から,暴行や脅迫がなかったということが推認されるのではないでしょうか。
結論から申しまして,たとえ被害者が「暴行・脅迫されて無理矢理わいせつ行為をされた」と親告しても,そのことだけで裁判で有罪になる可能性は低く,裁判で有罪になる可能性が低い事案を,とりあえず勾留して調べるだけ調べるというようなことを検察庁は考えていませんので,検察に送検できない事件にもかかわらず警察が逮捕するかというと,可能性はかなり低いと言えます。
初犯か前科があるのかなどにもよるとは思いますが,単純に供述のみでは,逮捕勾留とまでいかないのではないでしょうか。
2 福岡県迷惑行為防止条例違反
強制わいせつ罪の暴行・脅迫要件がないために,相談の事例では強制わいせつ罪となることはないように思います。
しかし,暴行・脅迫が無くても,直接肌に触れずに着衣の上から身体を触ることであっても福岡県迷惑行為防止条例違反にあたることはあります。
ところがこの場合も,相手女性の同意があったかどうかが問題となります。
すなわち,手をつないだり,一緒にお酒を飲んだり,その後電話番号を交換した事実から,相手女性が同意しており,そもそも迷惑行為にあたらないと考えられるのです。
3 被害届が出される前に弁護士がやることがあるか
被害届が出されて,警察から連絡があると,心中穏やかではありませんね。
弁護士に御依頼されれば,当然被害者との示談ということを考えると思います。
被害届が出される前に示談が成立すれば,警察から連絡があるかどうかなどの心配もせずによいですし,仮に示談が成立したにも関わらず被害女性が約束を破って被害届を出したにせよ,示談書を警察や検察に見せれば,初犯か前科があるかにもよるとは思いますが,起訴されて有罪になる確率は限りなくゼロに近くなるでしょう。
もっとも,相談の事案で被害者の連絡先などが分かればいいのですが,仮に被害者の連絡先が分からない場合は示談もできませんので,弁護士に依頼してもなにもできません。
通常,加害者側で被害者の連絡先が分からない場合,弁護士は捜査機関のほうに被害者の連絡先を教えてくれるように頼みます。従いまして,捜査が始まる前は,加害者自身で被害者の連絡先が分からないと,示談のしようがないということになります。
4 性犯罪の示談
痴漢などの場合,本当にやっていないから否認していると,どんどん大変なことになってしまって,結局有罪になるから,やっていなくても認めて,示談をしたほうがよい,ということを,聞くことがあります。
このあたりは,人の考え方それぞれですので,性犯罪の場合は,必ずやっていないことを認めることになるというわけでもありません。
幸いにして福岡パシフィック法律事務所では,そのような,やってもいないことを認めた示談をするようなことをせずに弁護活動をさせて頂いております。依頼者にとって納得いく弁護活動をしてくれる,弁護方針が合う弁護士を探すことも大事だと思います。
なお,福岡パシフィック法律事務所の刑事弁護の弁護士費用は,最低着手金20万円~となっております。
刑事事件関係のお問合せは下記お問合せフォームからお気軽に御相談下さい。
お問い合わせはこちらから
- 投稿タグ
- 刑事弁護