当番弁護士に登録している弁護士が減っているとのニュースが報道されました。
たしかに「割に合わぬ」という理由が大きいのだと思います。
なんだか「金にならない」というニュアンスが先行して感じられてきます。
そもそも、最初に当番弁護士に登録したときに、お金になると期待して登録したという弁護士は少ないと思われます。
けれども、登録を外すときには、お金にならないから外す、というのが最大の理由なのか、少々疑問にも思えます。
前提として、当番弁護士は、当番の日に1回だけ接見に行くという役割です。ですから被疑者のための弁護活動という役割ではなく、被疑者のために、刑事司法の制度や逮捕勾留の期間制限などの説明をすることが多いです。
もちろん、制度説明だけをすれば良いわけじゃなく、個別具体的な事件について話を聞き、その事件の大きさから、その後の予想される手続きの進み方、量刑の相場、被害者がいるなら示談をしたほうがよいなど、いろいろなアドバイスをしますが、弁護活動をするのは国選または私選の弁護人であって、当番弁護士ではありません。
ただ、一般的には、当番弁護士で出動した弁護士が被疑者国選に選ばれ、被疑者のために弁護活動をし、その後、起訴されると、その弁護士が被告人国選弁護人として裁判でも弁護活動をすることがほとんどです。
記事では、当番弁護士の登録数だけの情報が出ていましたが、
1、当番弁護士だけ外して国選弁護人は登録している人
2、当番弁護士だけ残して国選弁護人の登録を外した人
3、両方とも外した人
の、人数推移も気になるところではあります。
この記事を読むと、1の問題が浮上しているかのようにも感じられるのですが、実際には3のほうが多いように思うのです。
個人的な感想なのですが、接見に行くだけで、被疑者に会って、いろいろなアドバイスをすること自体が、現在の弁護士報酬では、まったく割に合わないほどに負担が大きいとは思いません。
民事事件の方が割が良いかのように感じさせられる記事でしたが、民事でも実際には30分の法律相談で5000円程度が相場です。
当番弁護士の弁護士報酬自体は、割に合わないというほどには低くないと感じます。
もっとも、その後に事件を着手して着手金や報酬金につながった民事事件に比べたら、国選弁護人の報酬が低いということはあるだろうと思います。
ですから、1の問題というより、3の問題ではないか(もしかしたら2と3の問題か)と感じるのですが、いかがでしょうか。
そして、2や3の問題だとすると、報酬の問題に加え、たとえば被疑者の関係者や家族がひっきりなしに事務所に電話してきて、弁護活動とは無関係の要求をすることがあり、こういうことが負担増だということはしばしばあります。弁護士としてはそのような要求もうまく応じたり拒否したりしなければならないところですが、法律事務所で勤務する女性事務職員に電話口で無理難題を言ったり、事務所まで押しかけてきたりなどが続くと、負担が増えるということはあるかもしれません。
福岡パシフィック法律事務所では、当番弁護士も国選弁護人も継続しておりますが、過去には、ある刑事事件との関係で、女性事務職員からの要望で玄関ドアを常に施錠できる体制にするためオートロックの施工をしたり、不審な荷物が届いて処理に困惑するなどのこともありました。
割に合わないというよりも、とくに若い弁護士には、このような負担に対して、金銭的にも時間的にもノウハウ的にも対応することが困難だということはあるかもしれません。
しかも、弁護士としては引き受けた以上、途中で放棄するなんて絶対ありえません。
途中で放棄することがありえないので、それならいっそ、最初から登録を外したい、と考える弁護士が増えるのはよくわかるところではあります。
このようなことから結果的に当番弁護士の人数が減っているのかもしれません。
- 投稿タグ
- 福岡、弁護士、刑事、当番弁護士
















