マンションと時効

先日、傾いてしまったマンションについての取材を受けました。

マンションが傾いた原因が、施工のミス、特に杭が支持層に到達するように打ち込まれていないという理由ならば、不法行為(民法709条)ということも考えられます。

不法行為の時効は3年です。

マンションが傾いた原因や加害者が判明してから3年以内に訴訟をしなければなりません。

かりに、マンションが建ったのが25年前でも、加害者が分かったのが2年前でしたら、時効ではありませんので、訴訟が可能です。

ドアが閉まらず、ヒビだらけ。。。

除斥期間

ところが、時効とは別に、民法は除斥期間という期間を設けています。

これは、不法行為の時から20年です。

杭を打ち込まなかった、という日から20年で除斥期間が過ぎてしまい、訴訟ができないということはあり得るでしょう。

このあたりの説明を、テレビでもしたのですが、番組を作るうえでは当然かもしれませんが、被害者がこんなに被害を受けてかわいそうだという説明をしなければなりませんので、法的救済すら受けられないというところをクローズアップする内容でした。

法律と現実問題

しかし、実は、訴訟ができたとしても、完全に損害が補填されるほどの金額が支払われないということのほうが現実問題としてあるということを弁護士としては感じざるを得ません。

一般の視聴者のこころにうったえるには、「これだけひどい被害をうけているから裁判をすることができます」というような解説だと、響かないのかもしれず、否定的な部分が強調されたのかもしれません。

そこに、認識の違いがあると常々思っています。

特に、最近では、交通事故専門と名乗るような法律事務所のホームページをみると、弁護士に依頼したら、こんなにお金がもらえました!というような雰囲気でページが作られていることがあります。

実際には、事故にあって、すごく辛い思いをしたり、痛い思いをした人が、たったそれだけの賠償金で損害が補填されたとは思えないことが多々あります。

上記の番組も、裁判をすることが可能です、ということですと、一般の視聴者の方が、

「なーんだ、たくさん損害賠償金がもらえるじゃん!」

と安易に考えることを恐れて、法律の壁を強調したのかもしれません。

実は、損害を受けた人が、受けた損害以上にたくさん賠償金をもらえることはありません。

アメリカなどでは懲罰的な損害賠償という考え方もあるようですが、日本の司法も被害者救済について、検討すべき時期に来ているのかもしれません。


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