道路陥没事故と営業損失
2016年11月8日、福岡市営地下鉄の工事中,博多駅前の道路が陥没する事故がありました。
弊事務所の弁護士2名が,たまたま福岡県警の博多署に仕事で出向いた日だったので,弁護士も現場を見て参りました。
弊事務所では,建築関係訴訟を数多く取り扱っているため,本件事故について多くのメディア取材を受けました。
事故直後の西日本新聞の取材で,弁護士米田宝広が,営業損失について回答しました。
記事では,たとえば,近隣のホテルなどならば,キャンセルが何件出たのか,キャンセル理由などをお客様に尋ねるなどして,きちんと記録をとることが必要だということが米田弁護士の言葉として掲載されています。
実際に,弊事務所にも営業補償をしてもらえないということで現在も相談がよせられておりますが,営業損害が出た場合,事故と相当因果関係があるのか,という点が問題になることは容易に想像できます。
キャンセル理由が「陥没事故のため」とはっきりしていれば,補償の対象になるでしょう。
そのために,可能な限りキャンセルの理由を確認すべきです。
全国放送でも,福岡市の対応が話題となり,米田弁護士が福岡市と大成建設の過失をどう考えるかについてコメントしました。
この当時の放送では,福岡市の対応が早いという事が話題になりました。
たしかに,イギリスなどで同様の事故が発生した場合に比べて復旧工事の早さは特筆すべきものがありました。
ところが,この当時,福岡市が復旧に全力で取り組んでいることが全面的に話題になるあまり,事故で被害にあった人々が,事故の被害について,賠償を求めないという姿が美談とされる空気が流れたような気がします。
もちろん,賠償を求めないという判断は,尊重されるべきです。
しかし,賠償を求めることが悪ということにはならないだろうとも思います。
最近では,福岡市の損害賠償が進まないという問題が顕在化しつつあります。
福岡市が被害者に対して,「相当因果関係の範囲外である」との回答をして賠償しないとの判断をすることがあるようです。
実際に「相当因果関係」があるのか否かは,なかなか難しいので,個別の事案に応じて考える必要があるでしょう。
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