サブリース事件の争点
福岡パシフィック法律事務所が現在,取り組んでいるサブリース事件の争点は,おおむね下記のようなものです。
サブリース業者をS社(サブリースのSです。福岡パシフィック法律事務所の相手方の会社名のイニシャルではありません)とします。
サブリース契約の流れ
- 農地などを持っている比較的高齢の方(A氏とします)の元にS社の営業マンが訪れる。
- 農地を宅地にしてアパート経営を進められる。
- アパート経営のノウハウはS社持っているので,あなたはなにも心配しなくて良い。
空室になったとしても,S社が家賃を保証するから,とにかく全て任せれば安心である。
といった勧誘で,A氏に高額の借金を負わせる。 - 建築当初は,新築なのでそれなりに家賃収入がある。
- 数年してくると空室が目立つようになる。
- S社はA氏に対して,「家賃を下げないと,入居者が決まらない」と言って家賃を下げさせる。
- 家賃を下げ過ぎると,当初高額の借金を背負わされているので,月々の借金の返済が苦しくなり始める。
- A氏がS社に対し,家賃を下げたくないという。
- するとS社は「家賃を下げないなら,空室保証は支払わない」(S社不払特約)という。
- A氏はS社の言いなりに家賃を下げざるを得ない。
サブリースの構造
なお,上にいう「家賃」は入居者の支払う家賃のことですが,この入居者の家賃とS社がA氏に支払う賃料がリンクしています。
分かり易く言うと,サブリースでは,次のような構造になっています。
入居者がまず家賃5万円をS社に払い,そこからS社が1万円抜いて4万円をA氏に支払うというような仕組みになっています。
家賃を下げると,入居者は家賃4万円をS社に支払い,S社はそこから1万円抜いて3万円をA氏に支払います。
さらに家賃を下げると入居者は家賃3万円をS社に支払,S社はそこから1万円抜いて2万円をA氏に支払います。
実際には,このように単純な計算ではありませんが,家賃を下げるリスクはおおむねA氏に背負わさせられており,S社はほとんどリスクを背負いません。
そもそも,S社の立場から言えば,当初A氏に高額の借金をさせて自社でアパートなどを建築する時点で大きな収益をあげています。
福岡パシフィック法律事務所のスタンス
福岡パシフィック法律事務所では,上記のS社不払特約は,違法または無効もしくは仮にA氏とS社の間になんらかの特約があったとしてもS社のような都合よい解釈はできないではないか,と考えております。
なお,被害者の立場からすれば,S社の行為は詐欺的ではないか,と考える方もいらっしゃると思います。
福岡パシフィック法律事務所でも,S社の営業マンが詐欺的な行為をしていると感じてはおりますが,刑法上ないし民法上の詐欺として取り組むのは大変難しいと考えております。
福岡パシフィック法律事務所では,S社との問題について,裁判での解決に取り組んでおりますが,裁判所は一般的に詐欺と認定することに大変臆病で,容易に詐欺と認定しません。
福岡パシフィック法律事務所で取り組んでいる別の消費者事件で,明らかに詐欺だとニュースでも何度も報道されいてる事件であっても,半年も1年もかけて裁判所に「詐欺」であると訴えているのですが,裁判所のスタンスとしては,ひょっとしたら,詐欺ではなく通常の取引だったのではないか,という可能性を一生懸命探るのです。
このような裁判所の姿勢を目の当たりにすると,S社との取引については,詐欺ではなく通常の契約だと捉えられる可能性が極めて高いと考えられます。
したがいまして,福岡パシフィック法律事務所ではS社について詐欺であるという追及をすることは考えておらず,不払特約が違法または無効もしくは契約書から不払という解釈はできない,という角度からの訴訟を進めております。
現在福岡パシフィック法律事務所が取り組んでいるS社不払特約をめぐる訴訟は,おそらく福岡では初の訴訟だと言われております。ハードルは決して低くない戦いですが,上記のような不払特約で苦しめられている方がいらっしゃいましたら,是非,一度,福岡パシフィック法律事務所までお気軽にお問合せ下さい。
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