
ごくまれに
「着手金無料で受任してほしい」
「成功したら報酬を高くしてもらってもいいから、完全成功報酬で受任してほしい」
というようなことをお尋ねになられる方もいらっしゃいますが、このようなご要望をされた場合、福岡パシフィック法律事務所では原則として、お断りしております。

実際、弁護士における着手金無料や完全成功報酬というものはどう考えるべきなのでしょうか。
相談者さんとしても、
「お金を支払わないとは言っていない、ちゃんと結果に応じて支払う」
というおつもりなのは理解できます。
しかし、そもそも「結果に応じて支払う」というお気持ちの時点で、弁護士の取り組み方や弁護士側の気持ちとの乖離が大きく、ご依頼を受けた場合トラブルになる可能性があると考えております。

弁護士の仕事は、法的知識をつかって、個々のクライアント様のそれぞれのお困りごとの解決を目指すことです。
原則として同じような内容のものはありません。
運送業のように、運送すれば結果が当然に生じるものではなく、結果が生じないことも半分くらいの可能性であります。
そういう意味では、結果を請け負う仕事ではなく、紛争解決にむけた過程、プロセスを依頼者様と一緒に伴走すること、プロセスそのものが依頼の中身と言えるでしょう。
ゴールや成果というものには、もちろん意義があります。しかし、
二人三脚で息を合わせて進んでいくからこそ、ゴールに近づくことができるのです。
この二人三脚で進むこと自体が弁護士の業務の本質です。
また、二人三脚で進むことによって、裁判手続きなどにもご理解をいただく必要があります。
なんらかの損害賠償請求をしていて、
「なんで2年もかかって100万円しかもらえないんだ。こんなのは成功とは言えない!」
などと言われてしまうと、2年間一生懸命伴走をしていた期間は無価値だったのか、と悲しい気持ちになります。
極端に言えば、非常に難しい事件で「無罪」を勝ち取ったとして、弁護士としては全力を尽くして無罪を勝ち取ったと思っていても、
「もともと、俺は、なにも犯罪をしていないのだから無罪は当たり前で、成功でもなんでもない。当たり前のことが当たり前になっただけだ。当たり前の結論になるために3年も時間がかかっていて成功ではなく損失だ」
と言われてしまうと、弁護士の仕事とはいったいなんなのかと思わざるを得ません。
実際の事件は、
もともと綺麗な車が壊れて修理代がかかったから、できるだけもともとに近い状態にした
もともと相続で平等に遺産がもらえるはずなのに、兄弟が多くとりすぎていたから、もともとに近い状態にした
もともと貸した金は返ってくるべきなのに、返ってこないので貸した金額と同じ金額が返ってきた
というようなことばかりです。
それで、完全成功報酬というときに、
「弁護士費用を払うと、もともとの金額から減ることになるじゃないか、それって成功ですか」
というようなことを考える人がいます。
弁護士としては、伴走すること自体が仕事です。
着手金完全無料、完全成功報酬というような甘い言葉で、依頼を受ける行為は、あたかも依頼者に対して、弁護士に依頼してもお金を支払うことは全く無い、儲かったら儲かった中から支払えばよく、儲からなかったら支払う必要がないので損はないと誤解をさせうる行為であると感じています。
もし、弁護士が完全成功報酬で受任すると言う場合は、安易にラッキーなどと思わずに、少し立ち止まって、受任後の事件の進め方について、よく弁護士にお尋ねになられたほうがよいでしょう。
















