福岡パシフィック法律事務所では,不動産売買トラブル事件を数多く扱っております。

売買トラブルというと,普通は売主と買主との間のトラブルとして処理されます。

しかし,特に住宅用の不動産の場合には,売主も買主も個人の方の場合があり,直接会ったのは契約時に一回だけで,契約締結には宅建業者が仲介をするというケースが多いです。

そのため,宅建業者に責任がないのか,との相談をよく受けます。

鵜呑みして虚偽の説明

例えば,不動産売買契約の仲介にあたり,売主の言を鵜呑みにして,もっぱら売主が提供した情報のみに頼って説明したところ,当該説明事項が事後的に虚偽であったことが判明した場合に,宅建業者は調査義務違反による責任を負うのでしょうか。
基本的には,仲介業者の責任は,契約締結の媒介です。

したがって,調査すべきなのは当事者であり仲介業者の責任ではない,というのが原則だと思われます。

にもかかわらず,この点が争われ,結果として調査義務違反の責任を認めた裁判例は多くあります。

たとえば,山林の売買を仲介した宅地建物取引業者は所轄機関に照会して仲介の目的である山林について保安林指定の有無を調査すべき責任を認めた判例があります。現地に保安林指定の看板などがなかったそうですが,その場合でも,宅建業者は役所などで調査すべきであったということになります。

閑静な場所であることを条件に不動産仲介業者の仲介をえて土地建物を買受けたところ、開発が進んだため閑静な場所でなくなった場合には、仲介業者は調査義務違反の責任を負うと判断された裁判例もあります。開発計画の有無は仲介業者が調べてから販売しなければならないということです。

また,少し事案が異なりますが,不動産売買の仲介に当る不動産仲介業者は、代理人と称する者が持参する売主本人の実印、印鑑証明書等により代理権の調査、確認をするだけでなく、特段の事情のない限り、売主本人に直接照会して不動産を売却する意思を有するか否かを確認すべき注意義務があると判断されたものもあります。実印があるから良いだろう,というだけでは調査として足りないということですね。

不動産仲介業者は、公道に接しない宅地については私道通行承諾書を取得して交付したり、売買対象土地の範囲が不明確な場合はその境界を明示するなどして、買主に土地建物買受の目的を達成させ、損害の発生を未然に防止すべき注意義務を負うとの裁判例もあります。売買の目的を達成できるように最低限の調査はしなければなりません。

このような裁判例の傾向をみると,単に,不動産の所有権を移転する仲介しておけば不動産仲介業者は責任をまぬがれるというわけではなさそうです。
少なくとも,買主の目的を達成できるよう,最低限の調査をしなければならないということになります。


福岡パシフィック法律事務所でも,全く賃料収入がないにも関わらず,現行利回り何%などと虚偽の広告を出して仲介した事件を取り扱っております。

このような場合,買主が莫大な損害を被ったとしても,業者側は,全く責任はないなどと言うことが多いです。

こうなってくると,裁判などで解決すべき事案となるでしょう。

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